正直、この手帳本が倉下さんの手によるものでなければ、書店で平積みにされていたとしても手に取ったかどうか自信がない。
いや、もちろん手帳に興味がないってわけじゃあないんです。むしろ逆。未だに手帳を使いこなせている感じがしなくて、色々手帳本を漁ってはいる。 しかし、表紙一目見て「なんか難しそうな本ダナー」と思ったのです(特に帯が)。
楽天から届いた本をぺらりと開いて目次を見てみると、果たしてツールはいっぱい出てくるし、カタカナが乱舞しているし、手帳レベル1の私が読んで果たして得るところがあるんかな、と心配になってしまうくらい。そんな気持ちで読み始めました。
その不安は、チャプター1を読んでいる間も続く。どうしてアナデジの手帳やノートを組み合わせて使うのか?という概論的な説明なのですが「言ってることはわかるけどツール多すぎるだろー!」と、読んでいて半ばパニックでした。特にP31のあの表なんなの私を泣かせる気なの逃げるよ?
しかし、ここで本を閉じて逃避してみても私の手帳レベルが上がるわけでなし、1400円を無駄にするとか許しがたいし、何より倉下本です。難しいことを噛み砕くのが上手なことは今までの著作で重々承知しているので、もうちょっと読み続けたらきっと面白いに違いない・・・。という一心で、チャプター2まで読み進めました。うんごめん、すこし嘘言った。チャプター1は若干読み飛ばし気味だった。
ツールすべてに意味があるチャプター2以降
結果として、私の期待は間違いのないものでした。 チャプター2以降、デジタルアナログ各ツールの使い方や組み合わせ方の説明があるのですが、こちらが断然面白いです。スケジュールやタスクの管理について、アナログとデジタルのツールを組み合わせ、長期~短期のスケジュールまでを、すべて各ツールに収めていきます。 その様子がまるで小気味よくはまるパズルのようで、確かに紹介されるツールや文具の数は多いのですが、それらすべてに意味があり、二つを組み合わせるとこんな相乗効果が!という新しい発見続々。思わず本を読む手を途中で止めて、長らく使っていなかった手帳を取り出して予定を書き込んでみたり、本に書いてあることをまねして、Googleカレンダーと手帳の併用を試してみたり、と試行錯誤していました。 このように、本書を読むのであれば、机の上に紙とペンを用意して、書いてあることを手元でやってみて追体験したり、メモを取りながら読んで、後々のスケジュール管理に生かすのがオススメです。
本書を読んでいて、いいなあと思ったこと
★ypad
初代iPadと同じ大きさで、2週間分が俯瞰できる横長チャートが付いたノートだそうです。長期スケジュール管理向き。俯瞰でスケジュール管理できるのがいいなーと思いました。
★デイリータスクはクローズリストに
タスク管理系の本で言われることではありますが、改めて。 朝にタスクを洗い出しても、そのあとタスクをたしてしまうクセが抜けず、本書を読んで改めて反省。
★『目標とは自分が前進するためのツールに過ぎない』
目標はただのツールなのに、 『ツールであるはずの目標が自分の上に存在して、それを達成できないとダメだと思い込む状況』 があるよね、byP178-179
というあたりに、強い共感を覚えました。あるある。
タスクやスケジュールの管理をするのも、目標を立ててそれに向かってがんばるのも、本当に最後に目指すのは『自分がやりたいこと』のためのはず。 なのに、たまに『自分がやりたいこと』と『目標』が摩り替わってて、時折おかしなことになりますよね。
『自分がやりたいこと』のために『目標』があるのに、まるで『自分がやりたいこと』そのものが『目標』であるかのように錯覚して、目標を達成することばかりに目が行って、本当に『自分がやりたいこと』がおざなりになってしまう、というような。
こういう状況に陥らないために、自分が『本当にやりたいこと』はなにかを知っておく必要があるし、自分がツールに振り回されているのではないかという疑問は、常に胸のうちで持っておく必要があるなあと思いました。
手帳の活用にまだ答えが出ていない人にオススメ
通して読んでみて、やはり、完璧な手帳初心者さんにはちょっと敷居が高いな、という印象は否めない。もちろん、手帳とデジタルとの組み合わせを検討する余地のないような人(PC・ケータイ慣れしていないひととか)にもおすすめしません。
とはいえ、この記事を読んでくれている方のなかで、上記のような方はあまりいらっしゃらないと思うので、オススメです、この本。
タスク・スケジュール管理をする誰もが『もっと効率的に』『もっと簡単に』と、更なる使い勝手のよさを求めて試行錯誤しています。そして、その中の一人、手帳にもデジタルツールにも習熟した倉下さんが出した答えが、この本の中に詰まっています。 デジタル・アナログの組み合わせについて、未だに自分なりの答えが出し切れていないなら、一度手にとってみてはいかがでしょうか。