TV関係者さんが手を抜いているわけではないんです。彼ら、彼女だって、次の特集ネタはないかと一生懸命です。わざわざお金を払ってまでリサーチャーさん (ネタ探しのプロフェッショナル)に依頼をして、情報をかき集めているんですから、その際にネットの情報に触れないわけがありません。
それなのに、なぜTVの話題は芸能やスポーツが今なお大勢を占めているのでしょう?ネット上でこんなに溢れている話題について触れれば、ネタには困らなそうなものなのに、なぜTVは同じ情報を、日に何度も繰り返して放映したりするのでしょうか?
それには、まず大前提として、『1.TVは見る人全員に伝わるような番組作りをしなければいけない』というものがあります。
日本に住む人、いや、日本語が理解できるすべての人に対して情報を発信しているので、老若男女問わず、その番組の内容を聞いて、すぐに理解してもらえる ものである必要があります。さもなくば、「自分に理解できない内容で面白くない」とそっぽを向かれて、他のチャンネルに視聴率を取られちゃいますからね。
ただ、すべてのメディアがネット関連の話題や先進的な内容を取り扱わないのか、というと、そうではありません。たとえば、TV東京系の『ワールドビジネスサテライト(WBS)』『ガイアの夜明け』などは、企業の大小を問わず、先進的な内容を発信している媒体です。
(特に、WBSはトレンドたまごというコーナーを持っていて、まだ製品にもなっていないような先進技術をも取り上げるチャレンジングな枠です。そのため、中小企業からの連絡が殺到しており、取り上げられるための倍率は数十倍にも達するとか。)
さらに、その他の番組でも、夕方のニュースなどは、そのネタが視聴者の興味を引き続けるようなものであればネットに関連する話題でも取り上げてくれます。
反面、昼間のワイドショーなどは、年齢問わず、主婦の女性が見ている場合が多いです。その人たちにとってはPCを使うこと自体が”新しい”ので、たとえ主婦に役立つ話題であってもあまり取り上げたがりません。
「ちょっとうちにはまだ新しすぎますね」
昼間の枠の担当さんにはこんな台詞がありがちとのことです。
もう一点、ネットの話題がTVで取り上げられにくい原因として、こんなものがあります。
私は、先月までIT系ベンチャーで広報としてお仕事をさせていただいていたわけなのですが、その際、PR会社さんからもメディアさんからも言われ続けていたこと。
『2.もう少し画(え)になるようなところが撮れませんか?』
画とは、要するに動きのある映像、ということです。人が作業しているところ、喋っているところ、建物や物品などの映像などです。実際に見せるときには、 さらに視聴者に視覚で訴えかけられるよう、人が触って紹介したり、叩いてみたり、燃やしてみたり、様々な演出がとられるようです。
ネットのサービスは、こういう画になるところが特に撮りづらいのでTVには嫌われる模様。
そのため、『画になるものをいかに多くそろえられるか』がIT企業のPR成否のクリティカルな要素として関わってきます。
たとえば、製品サンプル、製造工場、サービス利用者のインタビュー、セミナーの運営など、実物として見たり触ったりできる内容をアピールすることが大切です。
あともう一つ大切なのが、利用者さんとのコミュニケーションを密に取って、なるべくすぐに取材を受けていただけるような体制を整えること。
せっかく取材依頼が入っても、肝心の取材を受けて頂ける方が見つからないと、もうどうしようも無いですからね。
1.TVは見る人全員に伝わるような番組作りを志向している
2.WEBサービスのPRには、いかに画になる要素を提示できるかが鍵。
自社で運営しているWEBサービスをTVで放映して貰って、一般の方にも知って欲しい!と考えている方は、この二点について、ぜひ今後の参考に、心に留めて頂けたらと思います。
追記:
以前、某TV局、朝のニュース番組で受けた取材にて。
取材担当の女性スタッフさんさんいわく
「TV画面を撮るの、普通の3倍くらい難しいんですよー」とのこと。
実際、取材1h、画面&背景撮影1h弱、くらいかかってました。これもある種、TVからネットの話題が嫌われる原因のひとつなのかな・・・?