クレームほど、言うほうも受けるほうも難しい電話対応はないよなあと思うわけです。
おいらがお手伝いしている会社は個人向けにサービスを提供している会社。
私自身、商品(サービス)についての質問を電話で受けることがあります。
質問内容は多岐にわたり、時々はクレームのお電話もいただきます。
クレームのお電話は、なるべくなら受けたくないもの、であると同時に、こちらのミスや不具合を知らせてくれる大切なお声でもあって
個人的に、役立つクレームと役立たないクレームの割合は5:5くらいかな・・・という印象
(この割合は、ウチがサービス業であることや、客層が比較的いい※とアライは思っています※というのもかかわっていると思うので、どこの会社も5:5が当てはまるとは思いません)
そしてこの前、
役立つクレーム、どころか、こちらが頭を下げて平謝りしたくなるような、ありがとう!と心から言いたくなるような、すばらしいクレームをいただきました。
クレーム内容としては『競合他社にあるサービスがウチにはない』というもの。
それを実装するには(うちにとっては)かなり大きな時間と資金の投資が必要なため、今すぐ改善できる類のものではありませんでした。
でも、本当に申し訳ないな、ご希望に添えなくてごめんね、と思ったのでした。クレームの受けてが不快にならない、でも希望はしっかり伝えるバランス感覚が絶妙でした。
受けたクレームそのものは公開できませんが、それを受けた際の、クレーム電話の特徴をメモしておきます。忘れないうちに。
◎怒らない(けれど立場は堂々と)
このお客様は、終始落ち着いた様子で自分の要望を述べ「なぜこの会社では他社で用意されているものと同等の機能を用意できないのか?」と問われました。
クレームの受け手のスタッフにとって、電話相手のお客様が落ち着いていることはとてもありがたいことです。お客様が感情的であればあるほど、対応の難易度が跳ね上がりますし、焦ってクレーム対応のミスもしやすくなります。
お客様自身も、焦ったスタッフが間違った案内をしてしまえば、事態は余計にややこしくなるわけですからいいことありません。
◎商品の顧客であり、サービスを気に入っていると伝える
このお客様は、クレームをつけるにも愛がありました。
受け手としても、良い顧客は絶対に手放したくないものです。良い顧客とは、自社の商品にポジティブな関心を寄せてくれている人。
逆に「ああ、この人の問題を解決しても、言いたいだけ罵声を投げつけ去っていくだけだなあ」と思えば、必要以上の対応をしようとは思わないでしょう(もちろん仕事ですから、必要最低限の対応はしますが、それ以上を引き出すことはできないでしょう)。
◎他社にはある機能が、この商品にはないと伝える
しかも、さらっと。
言い過ぎるとゴネているように聞こえてしまうものを、あくまで客観的事実として落ち着いて説明されていました。
◎明快に要望を伝える
「私は~という機能がないために~ということが起こるので困っている」
というふうに、なぜクレーム電話をしてきたか、なぜ困っているのかをを明確に説明してくださり、それはアライにも良くわかる話でした。
『確かに、~機能がうちにあれば、お客様はもっと便利だろうなあ・・・』と、想像できる妥当な内容だったのです。
※ただし、リソース不足ですぐに改善できないご要望でした。
◎話を聞く
アライの話をさえぎらず聞いてくださったことも、このお客様のすばらしいところでした。
クレームのお電話をいただく場合、お客様によっては感情的になって、スタッフの話をさえぎったり、場合によっては途中で切ったりもされます。
そうではなく、お互いに話を聞きあって、言葉のキャッチボールを丁寧に交わしながら対応することができ、電話対応する側として大変助かりました。
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先述したとおり、結局このクレームについては、こちらのリソース不足のためすぐには解決できない問題でした。
私が最終的に申し上げたのは以下。
・弊社サービスをご愛顧くださっているにもかかわらず、他社と同等の機能をご用意できず、大変申し訳ございません。
・お客様のお問い合わせはまことにもっともで、社内でも検討事項に挙がっています。
・しかし、当該の機能を実装するためには大規模なシステム改修が必要でリソースが足りません(※実際ご説明差し上げるときには、もっと言葉を砕きました)。
・そのため、今回のお問い合わせ内容についてはすぐに対応することはできません。
・今後も継続して社中にて検討させていただきます。
・ご迷惑をおかけし、重ねてお詫び → でももしよかったら、そういう機能不足に目を瞑って、また使ってくれるとうれしいな!(※意訳※クローズ)
これで、お客様も納得して電話を置いてくださいました。
普通、クレームの電話を受けると、ガリガリとMPが削れるものなのですが、今回はまったくそんなことがなく、むしろかしこさがあがった!ような気さえしました。
クレームTELがいつもこんなお客様だったらいいのになあ・・・。などと思いつつ、業務に戻った初春の午後。